ガレージ兼事務所の新築工事⑦
腰掛け鎌継ぎ目違い付きと蟻落とし
今回は、墨付けをした梁材の刻み作業の様子をお伝えします。
一般の方には、聞きなれない継ぎ手や仕口をご紹介していますので
ぜひご覧ください。
腰掛け鎌継ぎ目違い付き(継ぎ手)
男木 女木
私が加工した、腰掛け鎌継ぎ目違い付き(継ぎ手)の男木と女木の画像です。
腰掛け鎌継ぎ目違い付き「こしかけかまつぎめちがいつき」なんて
何とも早口言葉のようですが、これは木造建築に用いられる継ぎ手の名前です。
継ぎ手とは、2つの部材を材軸方向に接続する接合部を指します。
この「腰掛け鎌継ぎ目違い付き」の鎌継ぎは、男木の頭が蛇の鎌首に
似ているところから付けられたといわれており、主に、土台・胴差し
軒桁など、横架材の継ぎ手として用いられています。
また、木材のねじれを防ぐために、腰掛け鎌継ぎの腰掛け部分に
目違いほぞを付けたものを、腰掛け鎌継ぎ目違い付きといいます。
蟻落とし(仕口)
蟻ホゾ 蟻穴
この画像は、蟻落としという仕口(しくち)です。
蟻落としとは、片方の木材の先に蟻ホゾ(鳩尾状に突き出させた柄)を
つくり、他方の木材につくった蟻穴に接ぐ仕口の名前です。
仕口とは、2つの木材を接合するために刻んだホゾや
継ぎ手を指し、組手の総称でもあります。
このように、木造建築には様々な継ぎ手や優れた技法が随所に
用いられていますが、大変残念なことに、最近のプレカット主流の
影響も手伝って、高い技術を持つ職人は減少の一途を辿っています。
吉田工務所が昔ながらの技法である墨付けや手刻みといった作業を
大切にしているのには、研鑽を積んだ大工だけが施すことのできる
伝統的な技法を、後世に残していきたいとの想いからです。
木の性質、目、向き、仕口等を熟知している熟練の大工により、確かな技と
伝統的な技法で建てられた木造家屋は、日本の風土に合うことは勿論のこと
構造的にも強くしっかりした良い家になります。