大工の道具紹介その2

玄能(玄翁)の柄

伝承される柄作り

大工が日常的によく使う道具の中に、玄能(金づち)があります。
玄能には柄(握るところ)がついていますが、私は柄を自作しているので
既製品を買ったことがありません。

この玄能の柄は、私が修行中に親方から教えてもらった作り方で作っています。
私の親方も、親方の親方から作り方を学び、そのまた親方も・・・というように
代々受け継がれてきたものです。

時代を超えて、私と親方、そして先代の親方たちを繋ぐもの。
それは、鑿や鉋の研ぎ方、玄能の柄の作り方に始まり、家をつくる為に
必要な「確かな技」です。
それは今も尚、私の中で脈々と息づいています。

玄能の柄に適した木と加工

修行中には、親方に笑われながらも、玄能の柄に一番合うのはどの木だろう?と
樫の木やケヤキ、栗の木・グミの木など、色々と試したこともありました。
その中で、自分には手触りと手なじみの良い柑橘系の木や、軽い桜の木が合うことが分かり
小玄能には蜜柑の木や柚子の木、大玄能には桜の木を使って作ることに落ち着きました。
一般的には、樫の木やグミの木で作られることが多いようですが。

私の柄作りは、曲がりの木の目を生かすために、少し反り気味の木を選ぶことから始まります。
玄能には平らな面と少し丸みのある面がありますが、平らな面を下にして柄を差し込んだ時に
柄尻が下に付くように、予め反りのある木を選ぶという訳です。
それを50㎝ほど切っておきますが、乾かさなければ加工できないので日陰干しにします。

画像にある蜜柑の木枝は10年ほど前に切り出し、皮付きのまま日陰干しにしておいた物です。
皮付きのまま日陰干しをすることで内部がゆっくりと乾燥され、柄に加工した時に
割れにくい丈夫なものになるのです。

まずは、乾燥された木の皮を鋸で剥いでいき、次に玄能の差し込み口に合うように
電気鉋を使って、大きさを合わせていきます。
次に、手鉋~ヤスリを使って曲がりなどを調整しながら仕上げます。

因みに、愛用の玄能は「長谷川幸三郎」という玄能鍛冶の名工といわれた方が
作ったものです。
こちらも、鑿と同じく大変貴重な品物となっていますので、手入れを怠らずに
これからも大切に使っていきたいと思っています。

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